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インピンジメント症候群を診るポイント

  • 2017年6月27日
  • 読了時間: 4分

肩関節疾患は臨床場面で多く経験する疾患です。肩痛を有する患者さんの中で肩インピンジメント症候群は44~60%との報告もあり、肩インピンジメント症候群に対する評価・治療のポイントを押さえておくのはセラピストにとって必要な知識になります。

~インピンジメント症候群の基本~

肩インピンジメント症候群は主に肩峰下インピンジメントとインターナルインピンジメントに分類されます。

肩峰下インピンジメント:烏口肩峰アーチと肩峰下滑液包・腱板との間で生じる

インターナルインピンジメント:関節窩と腱板・関節唇との問で生じる

インピンジメントが生じる要因としては

・肩峰下面の骨棘増殖や上方関節唇損傷

・腱板のimbalance

・肩甲骨の位置異常

・僧帽筋中部・下部線維の筋力低下

・肩甲上腕関節の拘縮

これら解剖学的破綻または機能的破綻によるものが挙げられます。

私たちセラピストは解剖学的破綻に対する治療は行えませんが、機能的破綻を見極め、徒手または運動療法などを用いて問題を解消させていくこともできるのです。

今回は肩峰下インピンジメントにフォーカスして、評価・治療のポイントや考え方を紹介していきます。

~肩峰下インピンジメントの評価ポイント~

肩峰下インピンジメントに対する整形外科テストとして有名なものにNeerテストとHawkinsテストがあります。

Neerテスト:感度75~89%、特異度32~48%

Hawkinsテスト:感度92%特異度26~44%

との報告があり、肩インピンジメント症候群に対する診断テストとしてはNeerテストとHawkinsテストが最も推奨されるテストであり、それ以外のテストに関する推奨グレードは低くなっています。

この肩峰下インピンジメントが起こる要因としては先ほど列挙しましたが、代表的なものに肩関節後方タイトネスがあります。肩関節後方を構成する小円筋、棘下筋、三角筋後部線維などの過緊張(肩関節後方タイトネス)により、肩挙上時に上腕骨頭が前上方へ押し出され烏口肩峰アーチ下の接触圧・接触面積が増大することが報告されています。

小円筋、棘下筋、三角筋後部線維などの筋は、野球やテニスなどのオーバーヘッドスポーツの際に過活動を起こし、過緊張となりやすい筋群です。そのため肩痛を有する野球選手は肩関節後方タイトネスが問題となっていることが多く、肩関節後方タイトネスの有無を検査することはインピンジメント症候群を診ていくうえでの重要なポイントとなります。

肩関節後方タイトネスを診る代表的な検査にHFT(Horizontal Flexion Test)があります。

写真では固定していませんが、肩甲骨を固定した状態での水平内転を診ていく検査です。

制限があれば陽性であり、肩関節後方タイトネスが疑われます。この写真で言えば、左図の写真(右肩)に制限が見られるため肩関節後方タイトネスが疑われます。

~治療のポイントと考え方~

では肩関節後方タイトネスによるインピンジメントをきたしている場合、治療はどのように進めていけば良いのでしょうか?

一般的な文献などには後方関節包のストレッチや小円筋、棘下筋などの緊張緩和が紹介されています。しかし肩関節後方タイトネスは“結果的に起きてしまった状態”であり、局所に対するアプローチは必要ではありますが、それだけでは再度タイトネスを形成しかねません。

そこで大切になるのが私たちセラピストに必須の能力である臨床推論です。

例えば野球選手やテニス選手の場合、フォームになんらかの問題があり、結果的に肩内旋動作が過剰に求められた結果、内旋制御として遠心性収縮で働く小円筋や棘下筋への負荷が過緊張を引き起こしているといったケースも多いです。

「どこのフェーズで、どこの関節の動きに問題があり、その結果肩内旋動作で代償を起こしているのか?」そのような視点で臨床推論を深めながら評価をしていくことが必要であり、その結果初めて治療の方向性が決定されます。

このように考えると、同じ疾患名で同じような局所の病態であっても、最終的には個々に合わせた治療プログラムを立案していくことが必要になります。

今回は肩インピンジメント症候群を例に紹介しましたが、臨床では「なぜそのような現象が起きるのか?」という問いを立てながら評価・治療を進めることが大切であると考えます。

皆様の臨床推論のお役に立てば嬉しく思います。

〜文献〜

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